法改正アラート
要対応 施行済み 2026年4月1日施行

建物の区分所有等に関する法律の改正——マンション管理・建替えの決議要件が大幅見直し

不動産管理業マンション管理組合建設業不動産業

公開日: 2026年4月7日

最重要ポイント

何が変わったか

普通決議が「出席者の過半数」ベースに変更され、建替え決議も特定5事由に該当する場合は5分の4から4分の3に緩和。所在不明区分所有者の議決権排除制度と国内管理人制度が新設された。

誰が影響を受けるか

不動産管理業、マンション管理組合、建設業、不動産業

何をすべきか

情報提供のみ — 具体的対応不要

マンション(分譲集合住宅)の管理や建替えに関するルールを定める建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)が、2026年4月1日に施行された。改正の中心は「集会(総会)での意思決定を現実的にする」ことと「所在不明の区分所有者への対応制度の整備」である。マンションを事業用として所有している事業者、または不動産管理・仲介・建設を業とする中小企業は、このページで自社への影響を判断してほしい。

具体的な変更内容

普通決議の要件が変わった。 改正前は「区分所有者総数および議決権総数の各過半数」が必要だったが、改正後は「出席した区分所有者と議決権の各過半数」で成立する。欠席者が多い集会でも決議を通しやすくなった。ただし、管理規約でより厳格な要件を定めている場合は規約が優先される。

建替え決議の基本要件は変わっていない。 原則として「5分の4以上」の賛成が引き続き必要。ただし、(1)耐震性不足、(2)火災安全性不足、(3)外壁剥落による周辺危害のおそれ、(4)給排水管腐食による衛生上の有害のおそれ、(5)バリアフリー基準への不適合——の5事由のいずれかに該当する場合は「4分の3以上」に緩和される。

一棟リノベーション・一括売却が新たな選択肢となった。 共用部分の著しい変更(一棟全体のリノベーション)や建物・敷地の一括売却が、5分の4以上の決議で可能になった。建物取り壊しのみという選択肢も法律上位置付けられた。

所在不明区分所有者の議決権排除制度が新設された。 相続人不明・連絡不能など所在が分からない区分所有者について、管理組合が裁判所に申し立て、裁判所の除外決定を得ることで、その頭数と議決権を決議の分母から除外できる。自動的に権利が制限されるわけではなく、個別の申立が必要な点に留意すること。

国内管理人制度が新設された。 海外居住の区分所有者は、国内居住者を管理人として選任できる。管理人は保存行為の実施と総会での議決権行使が可能。義務ではなく任意の制度。

対象事業者の範囲

直接影響を受けるのは次の事業者。

  • マンション管理会社(管理業者): 改正法に沿った総会運営手続きの見直し、管理組合への制度説明が必要。標準管理規約が2025年10月に改正され、2026年4月1日から適用されている。管理委託先の規約が旧版のままであれば、改正版への対応を確認すること。
  • 不動産業者(売買仲介・投資): 建替え・再生決議の要件変更を踏まえた物件評価と説明義務の見直しが求められる。一棟リノベーション・一括売却という新スキームが実務に加わった。
  • 建設業者: 建替え決議の緩和によって、これまで要件未充足で凍結されていた案件が動き出す可能性がある。
  • マンションを区分所有する事業者: 管理組合の構成員として集会の決議に参加する立場。新しい決議要件と手続きを把握しておく必要がある。

マンションを賃借しているだけのテナント事業者、または集合住宅に一切関与しない事業者への直接的影響はない。

まとめ

区分所有法は2026年4月1日に施行済みである。老朽マンションの「管理と再生」を現実化するための意思決定ルールが大きく変わった。不動産管理業・不動産業・建設業の事業者は、自社が関与するマンション案件について、新しい決議要件と新設制度を確認の上、管理規約の適合状況を点検することが求められる。既存の規約は施行直後に無効となるわけではないが、改正法の趣旨に沿った規約整備が推奨されている。

この改正への対応でお困りの方は

専門家に相談することで、具体的な対応方法や期限を確認できます。

専門家に相談する(無料)

コンプライアンス管理を効率化するツール — 詳しく見る