「森林経営管理法及び森林法の一部を改正する法律」(令和7年法律第48号)が2026年4月1日に施行された。林地で開発事業(太陽光発電設備の設置・道路工事・造成など)を行う事業者、または林地の取得を検討している事業者は、新設された罰則・公表制度および「施業施設協定」の承継効に注意が必要。自社が林地開発許可を取得している、または林地(森林)を売買・相続する予定がなければ、今次改正の実務的影響はほぼない。
具体的な変更内容
罰則の新設: 林地開発許可の許可条件(擁壁・排水施設の設置義務、法面保護工事など)に違反した場合、改正前は罰則がなかったが、改正後は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金」が科される。近年、太陽光発電事業に伴う林地開発で許可条件を無視した不適正開発が問題化したことへの対応で、行政指導・命令に加えて刑事罰による実効性を確保した。
違反者公表制度: 許可条件に違反し、都道府県知事の中止命令または復旧命令に従わない場合、違反者の氏名(個人)または法人名・代表者名が公表される。行政処分に続く社会的制裁として機能する。
施業施設協定の新設: 森林所有者と林道・作業道等の施設所有者が、市町村長の認可を受けて「施業施設協定」を締結できる制度が創設された。重要なのは承継効で、協定の公告後に当該土地または施設の所有権を取得した者にも協定の効力が及ぶ。売買や相続による林地取得時に協定の存在を見落とすと、予期せず義務を負うリスクがある。
なお、森林経営管理法の改正により、市町村が「集約化構想」を策定すれば「集積配分一括計画」を作成できるようになり、林業経営体への権利移転手続きが簡略化・迅速化された。林業経営規模の拡大を検討している事業者には機会となる。
対象事業者の範囲
今次改正の主な影響対象は以下のとおり。
罰則・公表制度の直接対象: 林地開発許可を取得している、または今後取得する事業者。具体的には、0.5ヘクタール超の林地に太陽光発電設備を設置する事業者、1ヘクタール超の林地で道路新設・造成工事を行う建設業者など。
施業施設協定の注意対象: 林地(森林)を取得する予定の事業者・個人。取得前に管轄市町村の林務担当窓口で施業施設協定の公告有無を確認する必要がある。
林業・木材業の一般的な事業活動(既存の林地での通常の施業・伐採)については、今次改正による直接的な義務変更は少ない。
まとめ
林地開発許可制度に刑事罰と公表制度が加わり、許可条件の遵守が法的に強制力を持つようになった。林地での開発事業を行う事業者は現在の許可条件の遵守状況を改めて確認し、未完了工事がある場合は速やかに対応することが求められる。林地取得を検討している事業者は、施業施設協定の存在確認を取得手続きのデューデリジェンスに組み込むべきである。